【古く万葉集にも詠まれた湯河原は長く秘湯の趣を持った温泉場】
古くから温泉街として栄え、多くの旅人に愛されてきた湯河原。海と山に囲まれた立地ならではの名所や歴史的な建造物も多く、観光地としても人気のスポットです。
温泉街の風情の中に溶け込む癒しの滝─ 高台から望むキラキラ光る相模湾。
「温泉で傷を癒す雌雄のタヌキが夫婦となり、神使として温泉を守る」との伝説が伝わる湯河原。そのタヌキと、親しみやすく軽妙なタヌキの歌にかけて、町内独自のグルメメニュー「坦々焼きそば」が誕生。
万葉集や文学に登場する癒しの温泉地
古くから名湯と名を馳せた湯河原は、万葉集に「あしかりの土肥の歌」として唯一登場する温泉と、歌人佐々木信綱に指摘されている。
しばしば訪れた国木田独歩はその風情を愛し、いくつかの作品を残した。大逆事件で捕らえられた幸徳秋水を見送る田岡嶺雲も、背にこの渓谷の水音を聞いていた。
夏目漱石は遺作「明暗」の重要な舞台としてここを選び、芥川龍之介もまたこの地に俗塵を避けた。疲れた心を山あいの湯に慰めようと訪れる与謝野晶子、島崎藤村、宇野浩二らの姿もあった。
戦後も小林秀雄、丹羽文雄、大岡昇平ら多くの作家が逗留し創作の筆をとった。