【第83位 ぺルー・ クスコ】
世界のヘソ (中心)
11〜12世紀頃、ペルー南部の標高約3,400mの高所に建設された、かつてのインカ帝国の都クスコ。
太陽神の子とされる皇帝が治めるインカ帝国は、15世紀後半から16世紀初頭に最盛期を迎え、インカ道で各地と結ばれたクスコ(ケチュア語で「ヘソ」の意味)は、まさに世界の中心として隆盛を極めました。
太陽神を祭る神殿は、その象徴である黄金で飾られ、まばゆい輝きを放っていました。
ところが1533年、スペイン人のピサロによって最後の皇帝が処刑されるとインカ帝国は滅亡。
おびただしい金銀財宝が略奪され、破壊された神殿や宮殿の跡に教会やスペイン風の町が築かれていきました。
中心のアルマス広場に面したカテドラルは、インカのビラコチャ神殿跡に100年を費やして完成。祭壇には約300トンもの銀が使われています。
インカ時代の堅固な礎石の上に建つサント・ドミンゴ教会は、インカの最も聖なるコリカンチャ(太陽の神殿)があった場所。
すき間なく積み上げられた石組みの技術は精巧で、カミソリの刃一枚さえ通さないといわれるほどです。
とりわけ、アトゥンルミヨク通りのパズルのように組み合わされた「12角の石」は驚異的です。
帝国の滅亡とともに忽然と姿を消したインカの人々。
しかし栄光の日々は、今も末裔たちに脈々と息づいています。
毎年6月24日に行われる盛大なインティ・ライミ(太陽の祭り)には各地から人々が集まり、古来の儀式が厳粛に行われ、さながらインカ帝国が復活したようです。
魅力、衝撃、自然、その物語や歴史のどれもが、通りに、広場に、谷や町村に息づいています。
クスコの都市は、チョケキラオ、サクサイワマン、ケンコ、タンボマチャイ、オリャンタイタンボ、マチュピチュ(いにしえのペルー人が環境にやさしい地に、知恵で築き上げたインカの至宝)などで、石を意のままに扱ったインカの高い技術を証明するすばらしい見本です。
山々を彩る段々畑や、過去が形作った、絵のように美しい村々である聖なる谷のような心にしみる魅力と風景。
クスコ(ケチュア語でへその意)は、まさに世界の中心です。
位置:ペルー南部のアンデス山岳地帯。
面積:7万2104 Km2